- 公開日:2025.05.26
- 更新日:2025.06.09
【特典】あなたが知らないかもしれない Cinema4D TIPS 40

2025年6月6日、京都で行われた
「Maxon User Meetup by Flashback Japan x SYNCHROTRON」セッション内容の中で、
イベントでは語れなかったTIPSを紹介します。大ボリュームなのでお楽しみください。コンノヒロム様ありがとうございます。
TIPSリスト
属性マネージャ
値ボックスのスピナー(左右矢印)をクリックするときのキーコンビネーション
属性マネージャの数値ボックスには値を増減させるスピナー(左右の矢印)があり、
値はクリックするごとに1ずつ増減します。
このとき「Shift + クリック」では10ずつ、「Alt + クリック」で0.1ずつ値が増減するようになります。
また、複数の項目を選択して「Ctrl + クリック」すると、まとめて値を変更でます。
このとき、入力される値はすべて同一になります。
複数項目を選択して値ボックスに数値を入力し、Ctrl + Enter
属性マネージャの数値ボックスを複数選択し、そのうちのひとつに数値を入力して「Ctrl + Enter」すると、選択されていた項目すべてに同じ値が入力されます。
マテリアルタグの「サイズ」など、一括して同一の値を入力したいとき便利です。
数値ボックスに式や関数を入力する
属性マネージャの数値ボックスには、四則演算をはじめ、さまざまな数式や関数が入力可能です。
「123 + 456」と入力すると結果は「579」になる
使用できる式や関数はかなりたくさんあり、リストはCinema 4Dのヘルプの「付録/式」にあります。
値ボックスで「現在の値=X」を変数として式を入力する
属性マネージャの数値ボックスで「X」を入力すると、「現在の値」として扱われます。
たとえば「X*2」は「現在の値*2」になります。
この「現在の値 = X」は特に、複数の項目の「現在の値」に対して同じ処理をするときに便利です
(複数項目の同時入力はCtrl + Enter)。
たとえば、複数の項目を選択して、ボックスの1つに「roundX」と入力(roundは四捨五入)、
「Ctrl + Enter」すると、選択された値すべてが「現在の値を四捨五入」した結果になります。
ビュー
ヌルオブジェクトのビュー表示の形、カラーを変える
「ヌルオブジェクト」はデフォルトでは黒い「ドット」で表示されます。
ビュー上ではほとんど見えず、クリック選択もしにくい「控えめな存在」です。
ビューでもっと目立つように、またクリック選択しやすいようにするには、
「シェイプ」や「カラー」を変更します。この例では「ピンクの球体」に変更しています。
「ビューポートソロ」と「レイヤーソロ」は別物
ビューで「特定のオブジェクトだけ表示し、それ以外を一括して非表示にする」機能として
「ビューポートソロ」があります。
また、レイヤーに登録されているオブジェクトでは、そのレイヤーで「レイヤーソロ」にすることで、
同様にそれ以外のオブジェクトを一括して非表示にできます。
この2つの機能は似ていますが、実際の働きには違いがあります。
この例では、シーンにアニメーション設定されたキャラクターが24体います。
アニメーションが非常に重いので、再生フレームレートが11fps程度に落ちています。
・ビューポートソロの場合
キャラクターを1体選択して「ビューポートソロ・階層」を実行すると、それ以外のキャラクターが非表示になります。
再生フレームレートは多少改善しますが、表示するキャラクターが24体から1体に減ったわりには、それほど大きな差はありません。
これは、非表示になっているキャラクターでも、エクスプレッションなどのアニメーションに関係する計算は相変わらず行われているためです。
見えていないところで計算が続いているのであまり変化がないのです。
・「レイヤーソロ」の場合
キャラクター1体だけ、すべてのオブジェクトを一つのレイヤーに登録し、「レイヤーソロ」を実行します。
「ビューポートソロ」のときと同様にほかのキャラクターは非表示になりますが、
再生フレームレートは「ビューポートソロ」よりも大幅に改善しています。
「レイヤーソロ」では、除外されているキャラクターはビューで非表示になるだけでなく、
エクスプレッションなども計算されなくなるためです。
どのぐらい速くなるかはケースバイケースですが、CPU負荷が高いシーンほど効果があるようです。
・「レイヤーソロ」を動的に行うプラグイン
ただし、「レイヤーソロ」を使うには、対象となるオブジェクトすべてをいったん特定のレイヤーに登録しなくてはいけません。
これは作業が面倒なだけでなく、既にレイヤーを使って管理されていシーンでは、
レイヤーを変更することになり支障があります。
そこで便利なのが、選択したオブジェクトに対して、動的に「レイヤーソロ」を実行するサードパーティプラグイン、「Magic Solo」です。
レイヤー設定を変更することなく、選択したオブジェクトに「レイヤーソロ」と同等の効果を与えることができます。
サードパーティーから配布されているプラグイン(ドネーションウェア)なので、動作保証など過度な期待はできませんが、とりあえずC4D2024と2025では動作することを確認しています。
使ってみて気に入ったらドネーションしてみてはいかがでしょうか。
Magic Soloをインストールすると、機能拡張メニューから実行できます。
プラグインのボタンをツールパレットに組み込むのもいいでしょう。
一度実行すると選択されていたオブジェクトとその子階層すべてが「レイヤーソロ」の状態になります。このときShiftキーを押しながら実行すると子階層を含まない動作になります。
レイヤーウインドウを見ると、「Magic Solo」という不可視のレイヤーが一時的に存在しているのがわかります。
もう一度「Magic Solo」を実行すると元に戻ります。
・注意事項
「レイヤーソロ」と「MagicSolo」ともに、非表示になっているレイヤーではエクスプレッションなども停止します。
このため、「表示しているオブジェクト」と「非表示になっているオブジェクト」とのあいだにエクスプレッションなどで相互作用がある場合には、動作が変化してしまいます。
すべてのビューでプレイ再生(一般設定)
これは名前のとおりのオプションで、一般設定の「ビューポート表示」のところにあります。
デフォルトではこのオプションはオフになっており、アニメーションが再生されるのは「そのときアクティブになっているビュー」のみです。
たとえばビューが4分割になっているとき、アニメーションが再生されるのはアクティブなビュー1つだけで、残りの3つは動きません。
「すべてのビューでプレイ再生」をオンにすると、表示されているすべてのビューで同時にアニメーションが再生されるようになります。
異なる視点から同時にアニメーションをチェックできるようになり、またアニメーションを再生するとき「どのビューがアクティブになっているか」を気にする必要がなくなります。
アニメーション再生のパフォーマンスを上げるためのオプションですが、現在のハードウェア環境ではマシンパワーに余裕があるので、
すべてのビューでアニメーションを再生しても問題ないことも多いです。
作業平面を選択エレメントに合わせる
シーンで斜めに配置しているオブジェクトのメッシュを修正するような場合、三面図(平面ビュー)が傾いているので作業が困難になります。
いったんオブジェクトの角度をまっすぐに戻してから作業する方法もありますが、
ビューのほうをオブジェクトに合わせることもできます。
斜めになっているオブジェクトを選択して、上段ツールバーから「作業平面を選択エレメントに合わせる」を実行すると、三面図(平面ビュー)のほうがオブジェクトに合わせて変更され、
まっすぐに表示されるようになります。ただし透視ビュー(デフォルトカメラ)には影響しません。
元に戻すときは「作業平面をYに整列」を実行します(これが作業平面のデフォルトです)。
作業平面にはほかにもいろいろなオプションがあるので、興味があればヘルプで調べてみてください。メカや建築などの作業で役に立ちそうです。
HUDのオプション(ビュー設定)
HUD(ヘッドアップディスプレイ)は、ビュー上にさまざまな情報を表示できる機能です。
「透視ビュー」のデフォルトでは、主にモデリングに関する要素が表示されており、必要に応じて表示する要素を追加できます。
「リフレッシュレート」はビューの再生フレームレートを確認できます。
「リフレッシュレート」がプロジェクト設定の「FPS」を下回っている場合、アニメーションの再生スピードが本来より遅くなる、といった判断の参考になります。
なお、「リフレッシュレート」が低いときは、アニメーション再生の「すべてのフレーム」をオフにすれば、フレームを適宜スキップすることでスピードを落とさず再生されるようになります。
項目によっては表示だけでなく、HUDから値の操作もできます。
「フレーム」ではマウスドラッグで「現在のフレーム」を動かしたり、数値入力で指定したフレームに移動できます。また、「カメラ」ではカメラの切り替え、「アクティブツール」では使用したツールを履歴から再度呼び出せます。
ビューポートレンダラーではHUDも表示されるので、
プレビュー動画で「使用しているカメラ」「現在のフレーム番号」などの情報を動画上でも参照できます。
「標準レンダラー」では、レンダリング設定のオプションで「HUDをレンダリング」をオンにするとレンダリングにHUDが上乗せされます。
「HUD」などの「ビュー設定」はシーンファイルごとに保存されます。
新規で作成されるファイルにカスタマイズしたHUD設定を反映させたいときには、
「デフォルトのシーン」で設定しておきます(該当項目を参照)。
カスタムHUD
HUD(ヘッドアップディスプレイ)は、「ビュー設定」から設定できるもののほかに、ユーザーが任意に追加することもできます。
オブジェクトやツールのほとんどの項目は、属性マネージャからビューにドラッグすることで「HUD」として配置できます(右クリックメニューの「HUDに追加」でも可能)。
たとえば、エクスプレッションタグの「使用する」をビューにドラッグしてHUDにすると、ビュー上からワンクリックでエクスプレッションのオンオフの切り替えができるようになります。
ただし、多くの要素は「表示モード」がデフォルトでは「オブジェクト選択時」となっていて、そのオブジェクトやタグの選択を解除するとビューのHUDも非表示になっていまいます。HUDを常時表示しておくには、HUDの右クリックメニューから「表示」を「常に」に切り替えます。
HUDは「Ctrl + ドラッグ」で移動できます。
複数のHUD要素を「Shift + クリック」で選択し、右クリックメニューから「グループ化」することもできます。
ユーザーが追加したHUDでは、背景や文字のカラーなど、さまざまな要素を個別にカスタマイズできます。
パラメータをHUDにした場合には、そこから直接パラメータを変更したり、アニメーションのキーを打つことができます。
ショートカット
気がつきにくいビュー操作のショートカット、キーコンビネーション
Cinema 4Dの「ショートカット」はメニューに表示されているので、よく使う機能は自然に覚えられるようになっています。
そのいっぽう、メニューに出ていない「ショートカット」や「キーコンビネーション」などもあり、それらはヘルプを読まないと存在に気づかないということもあります。ここではそれらをいくつか紹介します。
※これ以外にも、属性マネージャやモデリングのカテゴリで特殊なショートカットなどを紹介しています。
・「Q」:親のジェネレータをオンオフ
選択しているオブジェクトの親が「サブディビジョンサーフェイス」のような「ジェネレータ」の場合、ショートカット「Q」でオンオフすることができます。上位階層に複数の「ジェネレータ」がある場合には、いずれか1つがオンオフされます(任意には選べないようです)。
・Ctrl + Tab:個別のウインドウを最大化
「Ctrl + Tab」は、そのときマウスカーソルのあるウインドウを一時的に最大化するショートカットです。
もう一度「Ctrl + Tab」で元に戻ります。
ビューを画面いっぱいにする、
オブジェクトマネージャやタイムラインを広げて一覧するなどが一瞬でできてとても便利です。
・J + マウスドラッグ:現在のフレームを動かす
ビュー上で「J + マウスドラッグ」すると、アニメーションの「現在のフレーム」が移動します。
基本的にはタイムラインやパワースライダでの「現在のフレーム」の操作と同じですが、
こちらの操作ではマウスポインタをビューに置いたまま実行できます。
また、「現在のフレーム」は表示しているアニメーションが長いほど相対的に動作が過敏になりますが
、「J + マウスドラッグ」では常に一定の速度で時間を移動します。
・移動ツールなどで「7 + マウスドラッグ」:子オブジェクトはそのまま
通常は、移動・回転・拡大ツールでは、
選択しているオブジェクトを動かすと子階層もいっしょについてきます。
このとき「7」を押しながらマウスドラッグすると、
子階層はそのままの状態で残り、選択しているオブジェクトだけが動きます。
・移動ツールで「矢印キー」:オブジェクトを移動
移動ツール使用時に「矢印」キーを押すと、
選択されていたオブジェクトやエレメントがその方向に移動します
(XYZの対応はビューの向きによります)。
これはこれで便利なのですが、属性マネージャなどでカーソルを動かしているつもりが
いつのまにかオブジェクトがずれていた、などの事故が起こる恐れもあります。
矢印キーでオブジェクトが動くことがあるというのは、念頭に置いておくほうがいいでしょう。
・「Ins」(Win)、「Home」(Mac):カメラピボットを設定、ロック、あるいは「ビューに緑の十字が出るやつ」
このショートカットを押すと、ビューに緑色の十字が出現し、カメラの回転の中心がそこに固定されて変更できなくなります(以後ずっとそこを中心に回ります)。
メニューには出ていない機能なので、存在自体を知らないユーザーも多いのではないでしょうか(ヘルプには書いてあります)。
意図せずこのショートカットキーを押して有効になってしまったり、第三者から受け取ったファイルがこの状態になっていたりして、解除する方法がわからずに詰む、という恐れもあります。
この状態は、同じショートカットをもう一度押せば解除できます。ただしコンパクトキーボードには「Ins」や「Home」キーがないものもあるので、その場合はコマンドマネージャやコマンド入力窓(Shift + C)で「カメラピボット」を検索し、そこからコマンドを実行すれば解除できます。
ショートカットのカスタマイズ
Cinema 4dのショートカットは任意にカスタマイズできます。ウインドウメニューの「カスタマイズ」から「コマンドマネージャ」で呼び出して設定します。
ここでショートカットを検索し、任意のキーを割り当てるなどの操作ができます。既存のショートカット設定を削除したり、上書きしたりすることも可能です。
アルファベット1文字などのわかりやすいショートカットは既存の機能で使用済みですが、「Alt」などの同時押しや、2つや3つのキーを続けて押すようなものにはけっこう空きがあります。詳しい操作方法はヘルプを参照してください。
カスタマイズしたショートカットはプリセットとして保存されます。コマンドマネージャのファイルメニューから、複数の設定ファイルを使い分けるなども可能です。デフォルトでは「Cinema 4D R25 (modified)」という名前です(R25以降のC4Dバージョンでもこの名前)。
ユーザーインターフェイス
レイアウトのカスタマイズ
Cinema 4dのレイアウトはいくつかプリセットが用意されていますが、ユーザーが任意にカスタマイズすることもできます。あらかじめ用意されているレイアウトはすべてシングルモニター用なので、マルチモニターを有効に使うためにはレイアウトのカスタマイズは必須でしょう。
・ウインドウレイアウトのカスタマイズ
2つめ以降のモニターにウインドウをレイアウトするには、「グループウインドウ」を使います。ウインドウメニューから「新規グループウインドウ」を選択すると、空白の「グループウインドウ」が表示されます。出てきた直後にはタイトルバーしかない、小さな空白のウインドウです。
これを2つめ以降のモニターに移動して最大化すると、ウインドウやパレットを詰め込むための「入れ物」として使うことができます。
これは2つのモニターのレイアウトの一例です。「タイムライン」を大きく表示するなどしています。
個々のウインドウは、左上の「三本線アイコン」をドラッグしてレイアウト内を移動できます。下の例では、「レイヤーウインドウ」を「オブジェクトマネージャ」と「属性マネージャ」の間に移動しています。
ユーザーがカスタマイズしたレイアウトは、保存しないとアプリケーション終了時に消えてしまいます。
ウインドウメニューの「カスタマイズ」にある「初期レイアウトとして保存」では、Cinema 4D起動直後に読み込まれるようになります。
または任意の名前で「レイアウトを別名で保存」することもできます。
ユーザーが名前をつけて保存したレイアウトは、ウインドウ最上段のリストに追加されます(ユーザー定義のものは書体がイタリックになっています)。ここに表示する項目は、レイアウトメニューのリストで表示・非表示が選べます。
・ツールパレットのカスタマイズ
よく使う機能は、ツールパレットにアイコンで配置すると便利です。ウインドウメニューの「パレットをカスタマイズ」で「パレット編集モード」になります。
このとき「コマンドマネージャ」が開き、左上の「パレットを編集」がオンになっています。
「パレット編集モード」では、「コマンドマネージャ」からツールパレットに各機能をドラッグ&ドロップで配置できます。名前やショートカットで機能を検索し、パレットにドラッグして配置します。
右上にある「アイコンセパレータ」などは、ツールパレット上でアイコンの間のスペースを空けるためのものです。
また、ツールパレットにあるアイコンをダブルクリックすると、そのアイコンは削除されます。
「コマンドマネージャ」から検索するだけでなく、メニューの項目をツールパレットに配置することもできます。メニューの項目を取り出すには、まずメニューを開いて、最上段のギザギザのバーをクリックし、メニューを独立したウインドウとして切り離します。こうすると、「パレット編集モード」でメニューの項目をドラッグして抜き取れるようになります。切り離したメニューから項目を抜き取っても、元のメニューは変化しません。
一例として「選択範囲を記録」を抜き出してみます。
まず「選択」メニューを切り離します。
そこから「選択範囲を記録」を最上段のツールバーへドラッグ&ドロップで持ってくると、ボタンとしてレイアウトに組み込むことができます。
こちらはカスタマイズされたツールバーの一例です。既存のツールバーの右側に、モデリングに関係する機能などを追加しています。
「コマンドマネージャ」を閉じるか「パレットを編集」をオフにすれば「パレット編集モード」は終了します。ツールパレットのカスタマイズもレイアウトの一部なので、「レイアウトを別名で保存」などで保存しておく必要があります。
「ビューポート表示」のカスタマイズ
一般設定の「ビューポート表示」では、エディタビューの表示をカスタマイズできます。
「一般設定」を変更するとアプリケーションの初期設定として保存されるので、すべてのシーンファイルに反映されます。
以下の1枚目はデフォルトのビューポート表示、2枚目はカスタマイズしたビューポート表示の一例です。
2枚目の例では、この図で選択されている項目が変更されています。その他の項目については、実際に試してみてください。
UIの「スキームカラー」の変更
Cinema 4dのビューやインターフェイスで表示されるカラーは任意にカスタマイズできます。一般設定の「スキームカラー」に設定があります。
「スキームカラー」設定には、C4Dのデフォルトに戻す「リセット」や、リセットを元に戻す「アンドゥ」機能があるので、気楽に試してみて大丈夫です。
インターフェイスのどの部分が何という名称なのか、すぐにはわからないこともあります。根気よく探すしかないのかもしれません。
「スキームカラー」の設定ファイルは一般設定フォルダの「prefs」にある「dark.col」です。このファイルを使って、スキームカラー設定のバックアップを取ったり、別にインストールされたC4Dに移植するなどといったことが可能ですが、Cinema 4Dのバージョン間の互換性には要注意です。自己責任でお願いします。
同種のウィンドウを複数出せるもの
ウィンドウメニューの項目名の右端やマネージャの右上に飛び出すアイコンのあるものは、同種のウィンドウを複数出せます。
たとえばオブジェクトマネージャを複数出すと、同時に複数箇所にアクセスでき、多数のオブジェクトがあるシーンでも管理しやすくなります。
属性マネージャでは、右上のアイコンから追加の属性マネージャを表示させると、直前に表示していたものが自動的にロックされた状態になります。同じ要素をずっと表示させておきたいときに便利で、実際に「2つめ以降の属性マネージャ」はそういった目的で使われることが多いでしょう。
レンダラーの選択に制約される要素
CInema 4Dには複数のレンダラーがありますが、一部のオブジェクトやマテリアルは、それを使うことができるレンダラーを選択していないと作成できません。
たとえばレンダラーがRedshiftのときは、背景、前景、空、床など、Redshiftでレンダリングできない要素はメニューなどに出てこず、作成できなくなります。また、マテリアルマネージャから作成できるマテリアルの種類も、レンダラーによって変化します。
こちらはレンダラーが「Redshift」のときです。
こちらはレンダラーが「標準」のときです。
いずれもレンダラーを切り替えれば作成できるようになりますが、実はレンダラーを切り替えなくても、コマンド入力(Shift + C)からならいつでも作成できます。
デフォルトのシーン
Cinema 4Dで新規に作成されるシーンファイルのデフォルト設定は、ユーザーがカスタマイズできます。
新規ファイルの「ひな形」としたいc4dシーンファイルを任意に編集し、ウインドウメニューの「カスタマイズ」から「デフォルトシーンとして保存する」を実行します。このファイルの内容は、一般設定フォルダのprefs/new.c4dとして保存されます。
一般設定の「ファイル>デフォルトのシーン」にも設定があり、ここからプリセットを選択できます。
カスタマイズされていないデフォルトは「ブランク」です。
「カスタム」ではファイルパスから任意のファイルが選択できます。前述の「デフォルトシーンとして保存」したファイルはここに割り当てられていいます。この「カスタム」の参照は変更できるので、複数のプリセットを使い分けることも可能です。
「ロゴ」ではC4Dロゴの3Dモデルのシーンファイルがデフォルトになります。
この内容から制作をスタートすることはあまりないでしょうが、デフォルトのシーンで設定できる内容のサンプルとして、またC4Dでの制作そのものについても参考になりますね。
選択フィルタ
通常、ビューに表示されているオブジェクトはすべてクリックして選択できますが、「選択フィルタ」を使うと、クリック選択されるオブジェクトを種類別に絞り込むことができます。ここでオフになっているオブジェクトはビューでクリックしても選択されなくなります。
たとえばモデリング作業中に「ポリゴン」だけに限定したり、アニメーション作業中に対象のオブジェクトだけに限定したりすることで、作業を効率化できます。
コマンダー(旧)
グラフィカルユーザーインターフェイスではなく、テキストでコマンドを入力するための「窓」です。
レイアウトの左上隅の虫眼鏡アイコン、またはショートカット「Shift + C」から呼び出すことができます。ここでコマンドを検索して、ダブルクリックで実行します。「名前はなんとなくわかっているがメニューのどこにあるかわからない機能」などを使うときにはとても便利です。実はここからしか呼び出せない機能もあります。
「ツール」メニューはもっと多機能な「コマンダ-」がありますがが、単純にコマンドを入力するだけならこちらの「旧」のほうがシンプルで使いやすいですね。ショートカットの「Shift + C」で即座に呼び出せるのも便利です。
オブジェクトマネージャ
オブジェクトマネージャのアイコンのカラーを変える
オブジェクトマネージャで表示されるアイコンのカラーはカテゴリ別に決まっていますが、ユーザーが任意に変更することもできます。
設定はオブジェクトやタグの属性の「基本」にある「アイコンカラー」です。
デフォルトは「なし」、「表示カラー」ではオブジェクトに設定されている「表示カラー」になります。「カスタム」では任意のカラーを設定できます。
オブジェクトマネージャの特殊なクリック操作
オブジェクトマネージャでマウスクリックするとき、特殊な操作で実行できる機能があります。
・中クリック=子オブジェクトも含めて選択
オブジェクトを「中クリック(マウスのホイールでクリック)」すると、クリックしたオブジェクトの「子」すべてをまとめて選択できます。機能としては右クリックメニューの「子オブジェクトを選択」と同じですが、こちらのほうが簡単です。
・「たたむ・展開するアイコン」を「Ctrkクリック」=下位階層すべてたたむ・展開
オブジェクトマネージャの階層はオブジェクト一つずつ「たたむ」「展開する」ことができますが、このとき「Ctrl」キーを押していると、下位階層すべて「たたむ・展開」する動作になります。非常にオブジェクトが多い、階層が深いといったシーンで、階層をまとめて操作できます。オブジェクトマネージャの「選択されたものをたたむ」「選択されたものを展開」と同じですが、こちらのほうが簡単です。
・グレー・緑・赤の信号ドット(表示・非表示)をALT + クリック=ビューとレンダリングまとめて変更、CTRL + クリック=下位階層すべて変更
オブジェクトの右に上下に並んでいる信号機のようなドットは、上が「ビューでの表示」下が「レンダリングでの表示」のオンオフで、クリックするごとに切り替わります。
クリックするとき「Alt」キーを押しておくと、「ビュー」と「レンダリングの両方」が同時に切り替わります。
クリックするとき「Ctrl」キーを押しておくと、子階層も含めてすべて切り替わります。
「Alt」と「Ctrl」両方押しておくと「子階層も含めてビューとレンダリングの両方」が切り替わります。
オブジェクトマネージャとマテリアルマネージャの対応
オブジェクトマネージャで「マテリアルタグ」をダブルクリックすると、タグ割り当てられているマテリアルがマテリアルマネージャで選択され、属性マネージャでも表示されます。
オブジェクトマネージャでオブジェクトを選択すると、そのオブジェクトで使用されているマテリアルがすべて、マテリアルマネージャでハイライトされます。
オブジェクトマネージャでマテリアルタグを選択すると、そのタグに割り当てられているマテリアルがマテリアルマネージャでハイライトされます。
オブジェクトマネージャの親子関係のコマンド
オブジェクトマネージャには便利なコマンドがいろいろありますが、そのうちで親子関係に関するコマンドをいくつか紹介します。
マウスドラッグで階層の入れ替えなどをするより、こちらのコマンドの方が速くて確実なことがあります。
・子階層は残して消去
子階層のオブジェクトを親階層の外に出さなくても、親だけを削除できます。子オブジェクトを階層から出す操作が省けます。
・オブジェクトのグループを解除(Shift + G)
選択しているオブジェクトの子オブジェクトをすべて、選択オブジェクトと同じ階層に移動させます。子オブジェクトがたくさんあるときに便利です。
・親を指定
オブジェクトを選択してこれを実行すると、マウスポインタが「指」に変わり、クリックしたオブジェクトを選択オブジェクトの「親」にできます。ドラッグ&ドロップでもできる操作ですが、シーンが大規模でオブジェクトマネージャをスクロールする必要がある場合などはこちらのほうがやりやすいです。
・階層から独立
選択したオブジェクトをルート階層に移動します。これもドラッグ&ドロップがしにくい大規模シーンで便利です。
オブジェクトマネージャのフィルタ
オブジェクトマネージャには、「名前」によるフィルタと「種類」によるフィルタが用意されています。
・名前フィルタ(検索)機能(Ctrl + F)
オブジェクトを名前で絞り込みでき、名前が部分一致するオブジェクトだけが表示されます。大規模なシーンでは、あらかじめオブジェクトの命名規則を定めて作業すると効率的です。
・種別フィルタ機能(Ctrl + U)
リストにはオブジェクト種別、タグ種別、レイヤーごとに「選択数/合計数」が表示されます。それぞれ種類ごとに、「ダブルクリックで一括選択」、「表示オフ」(目玉アイコン)、「名前検索から除外」(虫眼鏡アイコン)ができます。
・フィルタの組み合わせ例
名前フィルタで「hand」と入力すると、名前に「hand」を含むオブジェクトだけが表示されるようになります。
さらに種別フィルタで「ジョイント」を「虫眼鏡オフ」にすると「ジョイント」が非表示になり「スプライン」の「hand」だけが表示されるようになります。
タイムラインとアニメーション
タイムラインのキーフレームの「値」を一括操作
これは「属性マネージャ」のところで紹介している「値」の操作の延長です。
タイムラインでキーを選択するとキーの「キーの時間」や「キーの値」を数値で入力できますが、複数のキーを選択していると「複数の値」と表示され、その状態で数値を入力すると、選択されているキーすべてに同じ値が入力されることになります。
属性マネージャでは「現在の値」を表す「X」という変数を使うことができるので、「現在の値」に対して四則演算を実行するという方法で、複数のキーの値をいちどに変更することができます。
たとえば、複数のキーを選択し、属性マネージャの「値」で「X*2」と入力すると、選択されていたキーの値が一括して2倍になります。「X + 100」ならば一括してプラス100です。キーをマウスドラッグで動かす方法では正確な数値入力ができないので、こちらの方法のほうが有用な場合があります。
四則演算のほかにも、「四捨五入」の「round」で小数点以下の値を一括して丸めることもできます。キーを複数選択して「roundx」と入力すれば四捨五入されます。キーをひとつひとつ選択して小数点以下の値を消す必要はありません。
タイムラインの「検索フィルタ」
「タイムライン」にも他のマネージャと同様に名前で表示を絞り込む「検索フィルタ」がありますが、なぜか表示メニューには入っておらず、ショートカットの「Ctrl + F」は「現在のフレームを選択エレメントの前のキーへ移動」に割り当てられているため、ウィンドウ右上の虫眼鏡アイコンを使うのが表示するための唯一の方法になっています(種別フィルターのショートカット「Ctlr + U」は機能します)。
「検索フィルタ」には「オブジェクト名称」と「トラック名称(位置など)」の2段があり、その両方で絞り込むことができます。たとえば特定のオブジェクトだけを表示したり、不要な種類の「トラック」だけを表示してまとめて削除するなどの使い方もできます。
この例はモーションキャプチャのアニメーションです。「位置」の値が変化するのは最上位の「Hips」のみで、子階層ではまったく値が変化しないのですが、すべてのオブジェクトに「位置」トラックがあり、そのすべてのフレームにキーがあります。そこで、この不要な「位置」トラックを一括して削除してみます。
まずトラック名のフィルタで「位置」で絞り込みます。
「Hips」だけを残して、ほかの「位置」トラックをすべて削除します。
トラック名のフィルタを解除すると、「Hips」より下の階層は「角度」トラックだけになっています。
タイムラインではトラックの名称も任意に変更できるので、命名と「検索フィルタ」を組み合わせて徹底した名前管理もできるかもしれません。
ユーザーモードのブックマーク
タイムラインの「ユーザーモード」はデフォルトでは空っぽで、そこへ任意のオブジェクトなどをドラッグ&ドロップして使用します。
この状態は「ブックマーク」として保存し、後でまた呼び出すことができます。
大規模なシーンファイルでアニメーション作業の対象を変えるごとに毎回ドラッグ&ドロップして登録し直さなくても、「ブックマーク」から呼び出せばすぐに作業の対象を切り替えることができます。
タイムラインマーカーのレイヤー管理
タイムラインの「マーカー」は、時間軸につける「目印」で、特定のフレームや、フレーム範囲を表示しておくことができます。
「マーカー」のカラーはメニューから作成すると「白」に、「Ctrl + クリック」で作成するとランダムなカラーが設定されますが、用途に合わせて任意の色を指定したいことも多いでしょう。作成するごとに特定の色を設定し直すのは手間なですが、「マーカー」をレイヤーに入れると、「マーカー」自体に設定されたカラーをレイヤーカラーで上書きして表示されるようになります。
「マーカー」をレイヤーに入れておくと、レイヤーウインドウの「マネージャ」ボタンで非表示にできるようになります。同じ時間帯で複数のマーカーが重なってしまうような場合でも、それぞれ異なるレイヤーに入れておけば簡単に表示を切り替えることができます。
アニメーションで不要なキーフレーム(トラック)を作らせない
オブジェクトにアニメーションのキーフレームを設定するとき、デフォルトでは「移動」「回転」「スケール」のすべてにキーが作成されます。
もし「スケールは一切いらない」というような場合には、タイムラインのツールバーのボタンで「スケール」をオフにすると、キーフレームを記録する操作をしても「スケール」のキー(トラック)は作成されなくなります。
※左から「位置」「角度」「スケール」「パラメータ」「ポイントレベルアニメーション」で、ハイライトされているほうが「オフ」
また、オブジェクトの属性の「座標」では、「キーフレーム選択範囲」を設定すること、それぞれの項目ごとにキーフレーム(トラック)を作るかどうかの設定ができます。
項目を選択して右クリックメニューから「アニメーション>キーフレーム選択範囲に追加」を実行すると、その項目が「キーフレーム選択範囲」に設定されます。
※「キーフレーム選択範囲」の表示カラーはデフォルトでは赤ですが、ここでは見やすくするため緑で表示しています。
「キーフレーム選択範囲」を設定すると、「選択オブジェクトを記録」などでキーフレームを作成する操作をしても、設定された項目にしかキー(トラック)は作られなくなります。この例では「キーフレーム選択範囲」を設定した「位置X」にしかキー(トラック)が作成されていません。
この状態でも、属性マネージャの○を「Ctrl + クリック」する操作ではキー(トラック)を作成することが可能です。
キーのないトラックを削除する・しない
デフォルトでは一般設定で「キーのないトラックを削除」がオンになっており、属性マネージャの項目の頭の●をクリックしてキーをすべて削除すると、そのトラック自体も削除されるようになっています(タイムラインからキーを削除した場合にはトラックは削除されません)。
トラック自体を任意に削除する方法としては、属性マネージャの●を「Ctrl + Shift + クリック」するキーコンビネーションがあります。こちらの手順を覚えておけば、自動でトラックを削除させる必要はないので、一般設定の「キーのないトラックを削除」はオフにしていてもいいでしょう。
FPSを計測
どうやらこれは、いわゆる「隠し機能」のようですです。メニューにはなく、コマンドマネージャやコマンダー(Shift + C)から「FPS」で検索すると見つかるので、そこから実行します。
ビュー表示やアニメーション再生のパフォーマンスを計測するための機能です。ビューのHUDに表示される「リフレッシュレート」では、その瞬間の数字を見ることしかできませんが、こちらは平均値を計算してくれます。
「開始」ボタンを押すとビューをぐるぐる回して、「停止」するまでの平均のFPSを計算します。「アニメテスト」を実行すると、タイムラインで設定されているアニメーション全体を再生し、完了後に平均のFPSを表示します。
ほかにも多くのオプションがありますが(ここ数年で追加されたものもあります)、ヘルプにも説明がないので詳細は謎です。興味のある方はいろいろ試してみるといいかもしれません。
モデリング
特殊なエッジ選択
移動、回転、スケールのツールでエッジをダブルクリックすると、単純な連続エッジを選択します。「ループ選択」と似ています。
すでにエッジを選択している状態で、エッジをCtrl+Shirtクリックで追加選択すると、既存の選択エッジから最短のパスでエッジを選択します。
いずれも「ループ選択」や「パス選択」で同じことができますが、こちらの手順ではツールを切り替えたりオプションを選ぶ必要がないので、単純ですが手っ取り早いといえます。
選択エレメントの変換
Cinema 4Dはポリゴンメッシュの「ポイント」「エッジ」「ポリゴン」それぞれのモードで、個別に直前の選択状態を記憶しています(ファイルにも保存されています)。
モデリングモードでポイント・エッジ・ポリゴンをツールバーのボタンでから切り替える際、「Ctrlキー」または「Shiftキー」を押しながらボタンを押すことで、選択している状態が次のモードに変換されて引き継がれます(ツールボタンのバブルヘルプにも書いてあります)。
「Ctrl」では「狭く」、「Shift」では「広く」変換されます。この例ではポイントからエッジへは「狭く」、エッジからポリゴンへは「広く」変換しています。
同様のコマンドとして、より多機能な「選択メニュー>選択範囲を変換」がありますが、「Ctrl」や「Shift」で間に合う範囲であれば、キーコンビネーションでやったほうが簡単です。
除去(Ctrl + Del)とメルト(Alt + Del)
ポイント、エッジ、ポリゴン、を選択して単に「削除(Del)」するとサーフェイスに穴が空きますが、「除去(Ctrl + Del)」または「メルト(Alt + Del)」を使えば、穴を空けずに選択していたエレメントだけを削除できます。
この例で、選択したポイントを単純に削除すると、後には穴が開きます。
「除去」か「メルト」を使った場合には、後には穴が開かず、N-Gonになります。※N-Gonを見やすくするために表示カラーを変更しています。
「除去」と「メルト」で結果が異なるのは、連続したエッジを消すような場合です。目的に合わせて使い分けることができます。
「除去」ではエッジに含まれていたポイントごと削除され、サーフェイスのフォルムが変わります。
「メルト」ではポイントはそのまま残り、サーフェイスのフォルムは変化しません。エッジが消えた範囲は「N-Gon」になっています。
ポリゴンのコピー&ペースト、カット&ペースト
モデリングのポリゴンモードでは、選択したポリゴンの「コピー&ペースト」や「カット&ペースト」ができます。同一のオブジェクト内でも、異なるオブジェクト間でも可能です。
球体のポリゴンから、一部分を「カット」してみます。
カットしたポリゴンを別のポリゴンオブジェクトにペーストする場合、「Ctrl+V」では「ローカル座標を基準にペースト」、「Ctrl+Shift+V」では「グローバル座標を基準にペースト」になります。
円柱のポリゴンオブジェクトにペーストしてみます。
「Ctrl + V」では円柱のローカル座標を基準にペーストされるので、ペーストされたポリゴンは円柱の正面に出現します。
「Ctrl + Shift + V」ではグローバル座標を基準にペーストされるので、ペーストされたポリゴンは元の球体にあったのと同じ場所に出現します。
スカルプトブラシは通常のポリゴンメッシュにも使える
スカルプトの「ブラシ」はスカルプトモードだけでなく、通常のポリゴンメッシュ編集時にも使用できます。機能としては従来からある「マグネットツール」を拡張したものだともいえます。ハイポリメッシュのフォルムを調整するのに便利です。
この例では、ハイポリメッシュの人物モデルに対して、スカルプトのブラシで造形を変更してみます。「膨張」ブラシを左右対称モードで使用し、頬のくぼんだ部分を膨らませて、肉付きのよい顔に改造しました。
メッシュチェック
「メッシュチェック」は名前の通り、ポリゴンメッシュの構造を可視化したり、エラー部分を検出、選択できる機能です。
ショートカット「Sihft+M」で「モデリング設定」を開くと「メッシュチェック」のタブがあります。
チェック項目は種類別に検出、カウントされます。チェック機能は種類別にオンオフできます。また、検出された要素は「 > > 」ボタンを押すと一括して選択できます。
「メッシュチェック」は特に、「不正なポリゴン」や「3面以上接続したエッジ」など、ビューで見てもわかりにくいエラーの検出に有効です。
下のメッシュは一見すると問題なさそうに見えますが、「メッシュチェック」では「3面以上接続したエッジ」「不正なポリゴン」「非平面ポリゴン」「境界エッジ」が検出されています。これらのエラーは、不要なポリゴンを削除したり、問題箇所に「最適化」を実行することで解消できます。
「HUD」を使うと、「メッシュチェック」のオンオフをボタンとしてビューに配置できます。「メッシュチェック」のオンオフの項目ををビューにドラッグすると、そこにHUDが作成されます。
ビューに作成されたHUDを右クリックし、要素>カラー>背景などで、HUDのカラーを変更してもよいでしょう。
このHUDの「メッシュチェック」をクリックするだけで、「メッシュチェック」機能のオンオフが簡単に切り替えられるようになります。
Phongタグの「スタイル」
フィレットなどで角を丸めたモデルで、平坦なはずの部分が「ヌルッとふくらんで見える」ことがあります。
これはメッシュの「スムージング」に由来する現象です。平面部分の端の法線がスムージングによりフィレット側に傾いてしまうために、そこに隣接するサーフェイスも傾いて平面が膨らんで見えるのです。
この例の場合は、Phongタグの「スタイル」をデフォルトの「均一」から「加重正方形エリア」に変更すると直ります。モデルのフォルムによっては、それ以外のオプションが有効な場合もあるかもしれません。
マテリアル
マテリアルタグが参照する「ポリゴン選択範囲」
Cinema 4Dの「属性」にあるリンクスロットに他のオブジェクトなどを登録するとき、多くの場合は内部的な「ユニークID」が参照されています。同じ名前のものが複数あったり、途中でオブジェクトの名前を変更したりしても、リンクが切れることはありません。
たとえば「マテリアルタグ」の「マテリアル」にリンクされているマテリアルは、マテリアルの名前を変えてもタグのリンクはそのまま維持されます。
ところが「マテリアルタグ」の「ポリゴン選択範囲」は、「ユニークID」ではなく「名前」で参照されています。このため、「ポリゴン選択範囲タグ」の名前を変更すると、「マテリアルタグ」からのリンクは切れてしまいます。
この例では、マテリアル「pink」のマテリアルタグの「選択範囲に限定」に、ポリゴン選択範囲「ポリゴン選択範囲」(デフォルトの名前)が設定されています。
この「ポリゴン選択範囲」タグの名前を「A」と変更しても、マテリアルタグのほうの「選択範囲に限定」リンクは元のままです。
すると、「pink」のマテリアルはオブジェクトに適用されなくなります。
どうしてこのような仕様になっているかというと、「選択範囲」は「名前」で管理したほうが柔軟に運用できるためです。
たとえば、ポリゴンオブジェクトに「マテリアルタグ」が1つもついていない場合に限り、上位の階層に設定された「マテリアルタグ」から下位の階層の「ポリゴン選択範囲タグ」を参照することができます。
これを応用すると、複数のポリゴンオブジェクトの複数の「ポリゴン選択範囲」に対して、それぞれ1つの「マテリアルタグ」でマテリアルを割り当てることができます。
また、マテリアルタグがついていないポリゴンオブジェクトの「インスタンス」に対しても、「マテリアルタグ」から「ポリゴン選択範囲」を参照できます。
これを利用すると、同じモデルのオリジナルとインスタンスに対して、それぞれ「ポリゴン選択範囲」ごとに異なるマテリアルを設定するようなこともできます。
このように「ポリゴン選択範囲」の名称は重要なので、自動で命名される「ポリゴン選択範囲」「ポリゴン選択範囲 .1」などはそのまま放置せず、早めに任意の名前をつけて管理したほうが安全です。
マテリアルの一括置換
オブジェクトに対して割り当てているマテリアルを、一括して別のマテリアルに置換する機能がいくつかあります。
・同一シーンファイル内
(1)「マテリアルA」を「マテリアルB」に「Alt + ドラッグ」すると、「マテリアルB」は消滅し、オブジェクトに設定されている「マテリアルB」は「マテリアルA」に置き換えられます。単純に上書きで置換する方法です。
(2)マテリアルマネージャでマテリアルを右クリックして「マテリアルタグ/オブジェクトを選択」すると、適用されているオブジェクトと「マテリアルタグ」がすべて選択されます。
属性マネージャでは「マテリアルタグ」が表示されているので、「マテリアル」リンクスロットに新たに設定したいマテリアルをドラッグすれば、マテリアルを一括置換できます。こちらは(1)のAltドラッグと違って、元のマテリアルは消滅せずそのまま残るので、より安全な方法といえます。
・別のシーンファイル間
別のシーンファイルからマテリアルを読み出して一括置換する機能もあります。この場合、置換するマテリアルは名前が一致している必要があります。
マテリアルマネージャの「マテリアルの置換…」コマンドを実行、ファイルオープンダイアログで別のc4dファイルを指定、ダイアログで「はい」を選択すると、指定したファイルにある「同名のマテリアル」で開いているほうのc4dファイルのマテリアルが置換されます。
この方法は、同一のプロジェクトが複数のc4dファイルに分かれているような場合に、いずれかのファイルで変更したマテリアルを他のファイルに同期するのに便利です。
インスタンス
インスタンスにオリジナルと異なるマテリアルを貼る
インスタンスに対して普通にマテリアルを設定しても、オリジナルに設定されているマテリアルを上書きすることはできません。
インスタンスはデータ的には「オリジナルの複製をヌルに入れたもの」なので、内部の下位の階層にオリジナルのマテリアルが存在することになり、上位階層にマテリアルを設定しても下位階層のほうが優先されるためです。
インスタンスを「編集可能にする」で変換するとわかります。
つまり、オリジナルにマテリアルが設定されていなければ、インスタンス側で上書きできることになります。
オリジナルにはマテリアルを設定しないか、オリジナルよりも上位の階層にマテリアルを設定すれば、インスタンスの内部にはマテリアルが設定されていないことになり、インスタンスに任意のマテリアルを設定できます。
ただし、複数のマテリアルを特定の部分に適用させたい場合には「ポリゴン選択範囲」を設定する必要があります(43.マテリアルが参照する「ポリゴン選択範囲」の項目を参照)。オリジナルにポリゴンオブジェクトでないパーツ(プリミティブなど)が含まれる場合、特定のパーツに任意のマテリアルを適用するには、ポリゴンオブジェクトに変換して「ポリゴン選択範囲」を設定する必要があります。
配置のためにインスタンスを使う
インスタンスは基本的には「多数の複製を配置する」機能ですが、最終的に1個しか使わないオブジェクトであっても、「モデリング作業用マスター」と「レンダリング用インスタンス」に分けると便利なことがあります。
例1:配置用にインスタンスを使う
レンダリングのための配置が、原点から遠い、傾いている、またデフォーマが適用されているなどの場合、レンダリング用にはインスタンスを使い、オリジナルはシーンの原点にまっすぐ置いておくと、モデルの修正が必要になったとき楽に作業できます。
この例では椅子のモデルをデフォーマで変形させて配置してあります。デフォーマを解除しても配置が斜めになっているのは変わらないので、配置にはインスタンスを使い、オリジナルは原点にまっすぐ置いておけば、モデルの修正などの作業が楽になります。
例2:複雑な構造のモデルのスケール
リグを使ったキャラクターなど複雑な構造のモデルをそのままスケールすると、アニメーションで動作が不安定になったり、構造が破綻する場合があります。この場合、モデルのメッシュ部分のみを「レンダーインスタンス」にして、それをスケールすれば破綻が避けられます(インスタンスモードがデフォルトの「インスタンス」では上手くいかないことがあります)。ただし「レンダーインスタンス」では、それをさらにデフォーマで変形させるといったことはできません。